観仏ノススメ

yooosuke2006-12-01

昨日、国立博物館において開催中の特別展『仏像 一木にこめられた祈り』を観た。開催期間残すところわずかなので早く行かねばと前々から思っていたところ授業の後夕方がぽっかり空いたのでそそくさと上野に向かった。

人づてに聞くのは絶賛の声ばかりだったので期待はしていたがこれ程良いとは思わなかった。4時過ぎに入場して6時の閉館までじっくり、色んな仏さんと向かい合う事が出来た。

奈良平安期の仏像、及び江戸期の円空・木喰作の仏像がずらっと並ぶ。前者の時期の仏像は人間っぽくない、というか表現が豊かで、見る人を包み込むようなおおらかさがあり大好きで、その点キリリとおっかない鎌倉期の仏像が1体もないというのはある意味今回の魅力である。彼らに比べると後者の姿はとってもPOPなのであるが、その分庶民の信仰の純粋性が伝わってくる。

今回は十一面観音が多く、360度ぐるりと回って普段は見られない一つ一つの表情を拝めるよう展示されているものが多いが、中でも滋賀・向源寺十一面観音菩薩立像はやはり素晴らしかった。その優雅な姿によって人の心を捉えておきながら、裏では『暴悪大笑面』と言う顔で笑っている。

こんな境遇だから、最近仏像とか寺院とか目にする機会が増えた。後ろに回ったり、横から眺めたりするだけでなく、衣文、装飾、時代背景、その他様々な要素に目を凝らしてみたりと、仏像にはいろんな見方見所があるようだ。勿論、正面に向かい合って、仏さんに見透かされている自分を観じるなどというのもひとつか。

なんとなくオススメは唐招提寺の3体の菩薩像の真後ろに浮かぶ、仏さんの肩口から眺めた姿のような影。ああ、コノ人たちはこういう眼差しを人に向けてるのね、という感じに見えた、ちょっとだけね。

残すところあと二日、いける人は是非どうぞ。
せっかくなので僕もこれからもう一回。