漆の業界の反逆爺

池袋三越でふらついていると特設ブースに鯉口股引のおっさん。格好からして非常に気になる所だが所詮デパート、社員も色々な格好をして商品売らにゃいかん時代よのう、などと思って付かず離れずしていたが厠にいかれた隙にそっと覗いて見ると、どうやら漆器のブースらしい。山田平安堂を最近知ったくらいでその筋については全く明るくないのだが、並べられた品々がなかなかよさそうで色々と手にとって見た。山田〜とかが『静的』とするとこちらは非常に『動的』な印象で、ビアカップ、御椀、お盆に波のような漆の模様がとても力強くて格好いい。そのうちおっさん戻ってきて色々と話を聞かせてもらい、気になる御椀を贈答用に一つ購入した。
軽いお手伝いで上京したらそのまま職人になってその道40年、荒川に工房をもつという角漆工/角光男さん。気になることはまずググるがモットーの手前、帰宅後検索したらさっき見た顔がすぐ出てきた。おいしそうだったビアカップは本当においしいとの評判。ニコニコと話す姿と動きのある漆器の裏には『主張とか大袈裟な物では無く、考え続けていく楽しさを大切にしたい。』という信念があったらしい。御椀共々よい出会い。

ちなみに店頭ではこちらがどれだけ話しかけようと財布を開こうと、おっさん常にその言葉とまなざしは女性へと向けられていた。さすが、職人。